Strange Strange
- 作者: 浅井ラボ,しばの番茶
- 出版社/メーカー: ホビージャパン
- 発売日: 2010/12/01
- メディア: 文庫
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ネタバレ全開かもしれないので読む際はご注意を。
■ ストーリー
これは同じ都市で起きたお話。
短編が4つ。
『ふくろおんな』
『ぶひぶひ♥だらだら』
『人でなしと恋』
『Last Day Monster』
タイトルだけみれば、よくあるラノベっぽいですね。
■ その他
表表紙のイラストもまあ、ライトノベルには良くあるパターンです。
中のカラーイラストも非常にラノベチックで、著者のあらすじ紹介♥もライトノベルと呼ぶに相応しいと言えるでしょう。
ここで3つ忠告があります。これを見なければこの作品をもっと楽しめること間違いなし。
見たい方は反転を。見ないほうがいいですが。
- 帯を見ない
- 帯を外さない
- カラーイラストの周りの文字(あらすじ以外)を見ない
ちなみに私は何故かこの忠告を守っていました。
そのおかげで楽しめた部分もあるので見ないようにすることをオススメします。
■ え〜と
この作品を簡単に表すなら、『されど罪人は竜と踊るからライトノベル成分を抜いて、さらに真っ黒にした作品』です。
もはやライトノベルと呼ぶことすらおこがましいです。
というか完全にR-18でしょうね。一般書籍で出しても何一つ問題ないほど。
■ 狂気と倫理の極限状態
4つの短篇集ではそれぞれ、有り得ないほどの黒さと狂気が垣間見えます。
『ふくろおんな』――人を呪わば一蓮托生。
女子大生3人組によるオカルトなお話。
些細なきっかけは、狂気の呼び水となって己を滅ぼす。
ただ、楽しみを得るためだけに。唯一のまともなホラー(多分)
『ぶひぶひ♥だらだら』――意志薄弱の愚か者の因果応報と強く賢しき正義。
イジメにあっている人間の人生のお話。
愚か者の無為な人生には因果応報が存在するのだろうか?
強く賢しい正義が与えた真実は何をもたらすのか?
それらに、意味はあるのだろうか?
この章は、され竜の某巻を思い出してしまった。あまりにも愚か者が愚かすぎて。
『人でなしと恋』――合縁奇縁の一期一会。
ちょっと変わった女性を好きになった男のお話。
倫理を知り、道理を曲げず、しかし狂気に満ちた真実の愛を求める。
壊れた心と力はどこまでも人を狂気に染める。
『Last Day Monster』。有象無象のバイオハザード。
突如起きた予期せぬ事件に立ち向かう女の子のお話。
生命危機の極限の先に倫理を捨てる。
極限の先に倫理を捨てたものは心を捨てる。
それでも――生き足掻くのは人間の正しい姿なのだろうか。
■ とりあえず
文章から恐ろしいほどの生々しさが染み渡ってきます。
それでいて惹きつけて離してくれない粘っこさが恐ろしい。まるで底なし沼に足を踏み入れたかのような。
最初、帰りの電車で読んでいたのですが、本を閉じても頭から恐怖が離れず、しかし続きが読みたくて電光石火で家に帰り、続きを読破してしまいました。
ホラーのお約束である、『最後まで話を聞く(見る)こと』を止めることができないほどの恐ろしさでした。
そして読み終わったとき……何故か安心してしまいました。虚無による諦めかも知れませんが。
それでもやっと終わったのだと。
■ 評価としては
星を付けようかと思いましたが無理でしたので評価不能です。
付ける意味すら考え付かない。
頭を真っ黒に染めたい方は読んでみることをオススメします。