虚ろな現実、深い夢、そして淡い眠り・・・・・・
いつもいつも現実と夢の間で唐突に目を覚ます。
なのに眠りたくとも眠れず、眠りたくなくても眠らされる。
見る夢は万華鏡のように様変わりし、私の意思のない心の中に映される。
私の心の夢の住人達が、私を嗤わせるために役割を交代しながら私に映画を見せる。
どうしようもなく不安で、意味がないことが悲しくて、それが幻の真実であることが虚しい。
自分の意思のない意識は眠っているのに起きているようで、でもそれは夢でしかないと起きた後に知る。
意識は起きているのに瞼は上がらず、暗闇とかすかな悪夢の残滓を私に見せながら、再び夢の世界に誘おうとする。
体は何故か鉛のように重く、さらに私が見た悪夢が私の心を縛りつけ、私は金縛りにあったかのように動くことができない。
それは幸せな夢では決してないというのに、私は現実の世界に還ろうとは決して思わない。考えない。現実を感得することもしない。
瞼の裏に映る暗闇は、様々な種類の図形を私に見せて飽きさせない。□、◇、○、△、☆。まるで波紋を見せるように同心状に美しく広がる。
現実を見つめるその景色は、何色でもない色に光り輝き、私を起こそうと画策する。それでも私は動かない。
ああそうだった。夢の中で起きるのを忘れていた。だから、私は現実の中で眠り続けているのだ。
そこに『忘れなさい』と私に囁く声がする。その声は私の心の内から執拗に語りかけてくる。
昏々と夢に響く、喜怒哀楽の欠けた心に染み入る声。無意識に私はそれに答えようとする。
『その矛盾は貴方に全てを与え、総てを失わせることでしょう』。どういう意味?
『だかラ、スベテ忘れなさい。後悔する前に。気付ク前に』。何を? 何故?
『・・・・・・世界でハど・・・・・・ヨ・・・もなク・・・く、優しい』。聞こえないよ!?
『や・・・・・・い貴方は・・・闇・・・・・・見・・・・・だロウ』何て、言ってるの?
『で・・・せ・・・生・・・死・・・ために』。ハッキリ答えて!?
『お願い』。何故か胸が締め付けられた。
もう何も聞こえてはくることはない。
意味も分からず。無性に悲しく。
それでも世界は何も変わらず。
私はその声に答えてみた。
――と。
※注:これは私が見た夢に妄想を足したものを文章にしただけです。