それはある朝の食卓(兄編)

 普通に起床した私は寝ぼけ眼(まなこ)でトコトコとダイニングにやってきた。

 既に朝食は親が作っていて、おかずがテーブルの上に並んでいた。

 そのすぐ後に私の兄も起きてきたようで、私の後からのそのそと顔を出した。


「おはよう、兄様*1」(私)

「ん〜・・・・・・」(兄)


 兄は眠そうに答えながらいつものように冷蔵庫に向かい、いつものようにアイスコーヒーと牛乳を出していた。

 それに呼応するように、私は棚からコップを出していた。


「・・・・・・・・・・・・」(私)

「・・・・・・・・・・・・」(兄)


 そうして私が並べたコップに、兄は私の分も含めて『アイスコーヒー+牛乳=カフェオレ』という定番メニューを作っていた。私の分をいつものように牛乳を多目にしてくれていた。兄はコーヒー分が多目の方が好きなのでほとんどがコーヒーで占められる。

 その光景を横目に、私は兄と自分の分のご飯を茶碗についでいた。ご飯に関しては兄も私も食べる量はそんなに変わらない。


「・・・・・・・・・・・・」(私)

「・・・・・・・・・・・・」(兄)


 カフェオレを淹れ終えた兄は食器乾燥機から私と自分の箸を出し、少し冷めてしまっていたおかずを電子レンジで温めていた。

 ご飯をつぎ終えた私は、箸とご飯とカフェオレを各椅子の前に並べて、冷蔵庫からおかずにかけるソースやマヨネーズを出していた。

 その間に兄はテレビのニュースを付け、電子レンジからおかずを取り出しテーブルに並べ終えていた。

 そうしてセッティングが終了し、お互い椅子に腰掛けて、『いただきます』も言わずに朝食を食べ始めた。


「・・・・・・・・・・・・」(私)

「・・・・・・・・・・・・」(兄)


 無言のまま食事は続く。私は兄がソースを欲しそうにしているのに気付くと兄にソースを渡し、兄は私が欲しそうにしているおかずがあると私の方に近づけてくれる。


「・・・・・・・・・・・・」(私)

「・・・・・・・・・・・・」(兄)


 その内、ニュースが今日の天気を伝えてくれていた。どうやら今日は雨らしい。


「今日は雨みたいだね」(私)

「・・・・・・そうだな」(兄)


 私はそう兄に声を掛けた。兄はいつものように答えてくれる。

 さらに暫くの後、時事ニュースが流れる。


「・・・・・・・・・・・・」(私)

「・・・・・・・・・・・・」(兄)


 こちらは気が向いたときにしかお互いに喋らない。でも話したときは驚くほど話すこともある。

 そうこうしている内に兄も私も食事が終了していた。基本的に無言なので食べるスピードは早い。

 私が(兄の分も)食器を片していると、兄が図ったように私のコップにまたカフェオレを注いでくれていた。そうして自分の分も淹れるといつものように兄は自分の部屋へとカフェオレを持っていこうとした。その去り際に兄は私に声を掛けた。


「××××*2」(兄)

「何、兄様?」(私)

「雨に気をつけろよ」(兄)

「うん、わかった。ありがとう。兄様も気をつけて」(私)


 私は自転車通学しているので、私の心配をしてくれているらしい。自分も自転車通勤が基本なのに。

 兄の言葉を受け取った私は、いつものように兄がよく出しっぱなしにするアイスコーヒーと牛乳を冷蔵庫にしまっていた。


 そうして、いつもの朝食風景は過ぎ去ってゆく。

*1:本当にこの呼称で読んでいます。嘘ではありませんよ。

*2:私の名前です。細かいツッコミはナシの方向で。