GOTH 夜の章&僕の章
- 作者: 乙一
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/06/25
- メディア: 文庫
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■ ストーリー
"僕"は死に魅せられらた少年。
彼はあらゆる殺人者に接触し、そこにある死をただ眺め見届ける凡庸な少年だった。
そして異常な性質を完全なる仮面で覆い隠し、意識せずとも自然に溶け込めるようになっていた。
そんなある日、彼はクラスメイトである森野夜に本質を見抜かれた。
「その笑顔の作り方を私にも教えてくれない?」
彼女は"僕"が意味のない笑顔を浮かべていたことに気付いたのだ。
彼女の性質と言えるものが"僕"と一緒だからかもしれない。
そんな美しく人形のような彼女の手首に刻まれた傷跡と彼女の秘密がもたらすものは。
そして"死"を看取る彼は一体どこへ向かおうとしているのか。
■ うん
普通に面白かったです。単純な私は簡単な誘導に引っかかりまくってましたね。
露骨にこれはと思うところも出てきましたが、それが何を意味するのかをその場で理解出来なかった私は勝ち組(物語を楽しめたという意味で)。
■ 死の蒐集
その彼の異常とも言うべき本質は、客観的に見てあまりにも不思議です。
自らが死を望むことはなく、死以外のことにあまりにも無関心で、死を蒐集するためだけに生きている。
同類に見える夜さえもあまりにも届かない深い闇。
違うように見えるのは、似ているように見える夜と"僕"の決定的な違いを感じるからかもしれない。
■ それは
後天性と先天性の違い。
感情を隠す者と感情を放棄した者。
起こった死を集める者と起こり得る死を眺める者。
闇の中で光を見出すことを奥底で望んでいる者と闇の中でさらなる闇を模索しようとする者。
殺される者と、殺す者。
どちらも異端に見えるのに違いが出るのは、一線を既に踏み越えている者と踏み越えていない者の違いですね。
■ 最後まで読んで思ったのは
夜は最後まで見ると印象が変わるんですが、"僕"は何処までいっても何も変わらないんですよね。
でもそれがいいと思いました。変わる者と変わらない者の対比が作品に映えている気がしましたからね。
■ 評価としては
星4.5です。
面白かったんですけど、あまりにもわかりやすいフラグを立ててくれるのでつい起こりうる可能性を疑ってしまうんですよね。
正直欲張り過ぎのような気もしますが、気付きにくいフラグとかもあったら良かったなと思いました。