アクセル・ワールド(2) ―紅の暴風姫―

アクセル・ワールド〈2〉紅の暴風姫 (電撃文庫)

アクセル・ワールド〈2〉紅の暴風姫 (電撃文庫)

■ ストーリー
 「おかえりなさい、お兄ちゃん!」

 家に帰ってくると、リビングの方からそんな声が聞こえた。

 「・・・だいま・・・・・・」

 反射的に返事を返そうとして気付いた。おかしい。生まれて13歳と10ヶ月の間有田春雪は継続して一人っ子のはずだった。

 幻聴かと思って、リビングに踏み込むとついに幻覚まで見出したのかと錯覚し始めた。

 何故なら、そこに可愛らしい10歳くらいの少女がいたのだ。

 それでも信じられなかったハルユキは彼女のほっぺたを摘んで、むにーと引っ張った。

 しかしその感触はどう考えても人間のものでしかも返事まで返ってきた。

 それでも信じられなかったハルユキはニューロリンカーに悪意のあるプログラムでも仕掛けられたのかと思ってロックを解除して引っぺがした。

 視界から時刻やカレンダー、アプリのアイコンなどは消えたもののやっぱり少女は消えなかった。

 おまけに母からの伝言メッセージで、彼女がハルユキのハトコであることが判明した。

 サイトウトモコと名乗った彼女によって、ハルユキの周りに激しい嵐が吹き始めることになるのだが・・・・・・

■ 災禍の鎧
 クロム・ディザスターという名のバーストリンカーが残した災厄。

 あまりに強く、あまりに残忍な戦い方を続けて多くのプレイヤーを再起不能にした彼は、ついに当時の最高レベルにあったバーストリンカー達によって駆逐されてしまう。

 しかし、彼はただでは死ななかった。恐ろしい置き土産を残していったのだ。

 それは人から人へと渡り歩き、圧倒的な強さを得られる代償として理性を失う呪われた《強化外装》(エンハンスト・アーマメント)として、かつての純王さえも恐れさせた代物だった。

■ というわけで
 その《災禍の鎧》が焦点のお話です。

 えっ? 紅の暴風姫はって? やだなあ、もう話に出てるじゃないですかぁ。

 というわけで、誰のことかもうわかりますよね?

■ 今回
 バースト・リンクの恐ろしさの一端が見えます。

 普通30分程度のバースト・リンクですが、ハルユキはレベルが4になったので、無制限中立フィールドといういつまでもバースト・リンク出来るフィールドに行くことが可能となりました。

 その場所はバーストリンカーとは別に《エネミー》と呼ばれる存在がおり、《エネミー》を倒すと一応少ないながらもポイントを得ることが出来るのです。

 なので、エネミーを狩り続ければそれだけでレベルが上がるのですが、そのためにこちらで一日を過ごしたとしても現実時間ではたったの864秒(15分弱)しか経たないのです。

 そのためやろうと思えば、何日でも狩り続けることが出来るのですが・・・・・・

「仮に一ヶ月、半年とこっちで過ごしてしまうとな・・・・・・」

「――戻ったとき、人間が変わってしまう。当然だ、それまでの自分とは、ヘタをすると魂の年齢までが異なってしまうのだからな。家族や友人に怪訝な顔をされたくなければ、ここにはあまり来ないことだ」

 つまり、ここに居続けるだけで精神が勝手に成長してしまうのです。周りから見ると大人びて見える程に

 それは低年齢における年齢差に敏感な子供たちにとって、どう影響するのでしょうかね。

 羨ましいと思うのでしょうか、それとも――

■ そして
 過去が黒雪姫に襲い掛かります。

 初代赤の王《レッド・ライダー》の死。彼女が彼にした醜い所業。

 それを周りの人間に知られてしまった彼女は動揺し揺らぎます。

■ それでも
 ハルユキは信じます。彼女を。

前人未到のレベル10に到達し、この世界の先を見たいというあなたの野望はその程度のものだったんですか! たかが男一人の思い出と引き換えられるほど安いものだったんですか! 人間の殻を超えようという人が・・・・・・過去の後悔にとらわれて、いつまで無様に這ってるつもりなんです! あなたにそんなことをしている暇はない、あらゆる障害を切り倒し、薙ぎ払って、最後の一人になるまで突き進むと決めたはずでしょう、ブラック・ロータス!!」

 彼女の決断は・・・・・・

■ 評価としては
 ハルユキのフラグゲッターっぷりに星5つ。後、全然書きませんでしたが黒雪姫とハルユキのラブラブっぷりもよかったですよ。

 感想リンク

■ なんか
 色々発見したのでここに報告。

 P.53の後ろから5行目。

まだ非ダメージも与ダメージも大したことはないが、ステージ破壊ポイントがカウントされ〜

 『非ダメージ ⇒ 被ダメージ』ですね。


 P.276の前から6〜7行目。これは誤字ではなく多分ミス。

「・・・・・・ほう、今のを躱すかよ」

 突き出された右腕を戻しながら、黒雪姫が感心したように言い放った。

 紅の暴風姫ならわかりますが、黒雪姫はそんな口調で喋らないと思います。