曲矢さんのエア彼氏 木村くんのエア彼女
- 作者: 中村九郎,うき
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/03/19
- メディア: 文庫
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■ ストーリー
普通の高校生木村カントは自分に絶望していた。
小さな頃からバスケットボールを続けていたが左膝を致命的なまでに故障し、選手を続けることが出来なくなったのだ。
バスケへ情熱を捨てるために、わざわざ真夜中の雨の中に歩道橋に赴き、バスケ用品の入ったバッグを未練を断ち切るように投げ捨てた。
が、その投げ捨てたバッグが何故か真夜中に国道を疾走する少女の顔面に命中してしまう。
慌てて駆け寄ったカントだが、幸いその少女はたいした怪我を負っていなかった。
しかし、その少女が突然わけのわからないことを言い始めた。
「リストバンドの人、早くこの場を離れないと死んじゃいますよ!」
ところがまわりを見渡しても雨が降っている以外何一つ変わった様子も無い。
曲矢サンノと名乗る彼女はカントになおも執拗に危険を知らせるのだが、風流に風が吹き抜けるばかりだ。
なんだかんだで落ちついたサンノとカントはサンノに連れられて『ピサ』と呼ばれる場所に案内される。
『ピサ』の名の通り10度ばかり傾いた元予備校らしき建物。その跡地は近隣の高校生が集まる溜り場だった。
その場所は予備校跡地にあった。そこに建つ10度ばかり傾いた元予備校らしき建物が『ピサ』と呼ばれていた。
近隣の高校生が集まるその場所ははぐれ者の集まりのように見えた。
その場所がおかしいことに彼は気付けない。もうすでに彼も同じ『エアリアル』になっていたのだから。
■ エアリアル
この話の主題ともいうべき才能『エアリアル』。
エア(空想)をリアル(現実)にする能力・・・・・・で大筋は間違っていませんが、多少の語弊があります。
何故なら、エアリアルより生まれたエア彼氏、エア彼女は基本的にエアリアルの才能が無い人には見えず、またこの才能の無い人に影響を与えることも無い。
エア彼氏・彼女が影響を与えられるのは、同じエアの存在とエアリアルの才能を持った人間だけでなのです。逆もまた叱り。
つまり、才能の無い人間から見れば超高度なパントマイムをやっているか、ただの危ない人にしか見えないのです。
もっと細かい設定もあるのですが、それは本書を読んでお確かめ下さい。
■ これは
なかなか面白い設定だと思います。
この作品の魅力はエアと一般人を交えた会話にあると思います。
引用は長いので割愛。
ちなみに私はシリアスに入る後半パートまではずっと笑い転げていました。
■ その才はなんのために
何故エアリアルという存在があるのか。
何故エア彼氏・エア彼女が存在するのか。
そして、彼女たちの存在意義は。
受け入れ、そして拒絶する先になにがあるのか。
■ 評価としては
星3.5です。
実際の所かなり心情を理解し辛く、非常に評価しにくい作品でした。
これは多分読まないとわからない。ひょっとしたら私だけかもしれない。
感想って大変だ・・・・・・