星図詠のリーナ
- 作者: 川口士,南野彼方
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2009/04/20
- メディア: 文庫
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■ ストーリー
今は亡きイーデン王国第三妾妃マリカの娘にして第五王女であるリーナはその立場にもかかわらず小さな頃から活動的だった。
幼少の頃、母親が世界中を旅して作った精緻で美しい地図に魅せられたリーナは地図に大いに興味を持つようになった。
その時母から受け取った白地図を埋めることが彼女の夢になった。
母に測量法を教えて貰ったり、気のいい技術者や専門家からいくばくかの知識と共に古くなった道具を与えてもらうと、彼女の技術は飛躍的に向上していた。
また幼少より、こっそり王宮を抜け出して街に遊びに出ては市井の子供たちと遊び、地図を描くことがあれば積極的に引き受け、小さな、しかし確実な実地的な経験を得ていった。
この2つの経験を元に、やがて彼女は成長を遂げ、ついに王宮を取り囲む城壁図を正確・精密を描くことに成功した。
そしてその才が彼女の父であるオルトラ王に認められ、一つの王命を拝することになる。
「マジェクに赴き、町及びその周辺の地図を作成して、謙譲せよ」
彼女は行く。彼女の侍女であり友でもあるサラと共に。亡き母の言葉を胸に。
「あなたが歩いた道を、見たものを、その中に描いていくの。この星の――あなただけの地図を」
彼女は描いて行く。彼女だけの地図を。
注:多少、私の行き過ぎた想像が混じってるかも。
■ 地図
この作品における地図は確かに地図なんですが受ける印象はまるで美しい絵画のように感じます。
地図に描かれるものは、道や場所の名前だけではなく、その場所の様子、そこに生きるものの姿、その場所の景色。
ありとあらゆるものを加えた上での地図があるものだと感じ取ることが出来ました。
地図と言うものを格式ばったものしか想像出来なかった私には新鮮な経験だったと感じましたね。
描写の例を入れたかったのですが、長かったので略。
■ 旅
旅というものを私はしたことがなかったのですが、この本を読んでいたら卓上旅行が出来る気がしましたね。
海を見たり、珍しい生き物を見たり、古い遺跡を見たり――ああ、旅ってこういうものなんだなぁと思いました。
ちなみに私自身は遠出が苦手なのは秘密です。環境の変化に弱いもので。
やっぱり描写の例を入れたかったのですが、な(ry
■ 侍女
ライタークロイスに続き、この作品にもサラという名の侍女が登場します。
リーナの頼れるお姉さん的な感じで非常に魅力的です。
前作よりもさらにパワーアップした感じがします(色んな意味で)。
内容は自分で読んで確認しましょう。
■ 作風
やはり、朴訥・素朴。それでいて自然といった印象が強いですね。
しかし、しっかりとした下地を持ち、安定した感じがするのはいい感じですね。
これからも今の調子を維持して頑張ってほしいものです。
■ 評価としては
星3.5といったところですね。大きな盛り上がりどころにさらなる何かが加わればさらに素晴らしい作品になるかと思います。
派手さのない、てらいの無い作風が作者の魅力だとも思うんですけどね。
作者ブログを見た限りでは2巻の発売もほぼ確定してるっぽいです。楽しみですね。