ソードアート・オンライン(1) アインクラッド
- 作者: 川原礫,abec
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/04/10
- メディア: 文庫
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■ ストーリー
2022年5月に脅威のゲームが発表された。
ゲームハード《ナーヴギア》と呼ばれるそれは、VRMMORPG(仮装大規模オンラインロールプレイングゲーム)――《ソードアート・オンライン》というソフトと共にこの業界を席捲した。
ナーヴギアは完全なる《仮想現実》を実現し、そこへ接続することを《フルダイブ》と呼んだ。
フルダイブとはナーヴギアによってユーザーは己の目や耳でなく、脳の視覚野や聴覚野にダイレクトに与えられる情報を見聞きし、脳から自分の体に出力される命令を遮断・回収し、仮想現実に完全な形で反映すること。
俗に言う、『ゲームの中に飛び込む』ということが可能となったわけだ。
ベータテスト経験者でこのゲームの魅力に取り付かれたキリトは、2022年11月に正式サービスが開始された《ソードアート・オンライン》の初回入荷分1万人分の中から幸運にも購入することが出来た。
早速、フルダイブしたキリトは初心者であるクラインに捕まって彼の世話をしながらもこれから先のことで胸がいっぱいだった。
しかし、ソードアート・オンラインが《ゲーム》として楽しかったのは最初の30分だけだった。
オンラインゲームに必ず必要なログアウトボタンが存在しなかったのだ。
恐慌に陥りそうな面々に突然巨大な鐘の音が響いた。
そして、世界は在り様を変える。
■ いやぁ
これは面白いですね。まさにゲームがリアルになったらどうなるかということを示した素晴らしい先駆者となった作品だと思います。
似たような作品に『電蜂』という作品がありましたが、あれはリアルの中にゲームが入っていましたがこちらはゲームの中にリアルが入ってます。
■ しかしまぁ
設定が細かい所まで行き届いていると感じました。
犯罪者設定やら何やら色々ありましたが、一番面白かったのは間違いなく《倫理コード解除設定》だと思います。内容は本書を読んで確認されたし。
・・・・・・そんなとこまで用意しなくてもと思いましたが、限りなくリアルに近いという設定だとはわかっていても、そんなことが実現したら一部の人たちがものすごく喜びそうな悪寒。
・・・・・・考えなかったことにしよう。
■ 目に見える命
当然ゲームなので、命もHPという数字で見えてしまいます。
現実世界では命が目に見えるわけではありませんので、運が悪ければ命の限界がわからない恐怖に襲われることもあるのかもしれませんが、仮想現実ではそれが見えてしまいます。
それは、ある意味で逆に恐怖なのではないでしょうか。死ぬことが目に見えてわかってしまうということが。
虚実が現実になることが。そして、その実感が湧かないことが。
■ 惜しいと思うのは
あとがきを読めばわかるのですが、
何故カットしたし。
これに尽きると思います。
それが一番如実に表れているのが、キリトとヒロインであるアスナとの関係にあると思います。
ほぼ完成された作品の中でここだけがどうしようもなく不自然に見えます。
それはきっとカット(字数制限)があったからなのでしょう。
私はこれを読んでいて作者の悲鳴が聞こえた気がしました。
なんとなくですがここはこうあったんだろうなぁと想像できてしまうほどに。
■ というわけで
星4.5です。十分に楽しかったので次巻にも期待です。