平和の鐘、永遠の女王

 『真実の扉、黎明の女王』に続く3部作完結編。

■ ストーリー
 カルロはアングスで伯爵となり、クレアのそばにいられるようになった。

 やがてドルラード皇国との和平向けて動き始めるのだが、和平が成立するとウェルラント王国と同盟しているイリアーラ帝国が同盟を破棄して攻撃してくるかもしれない。

 さらに、アングス伯爵でありながらイリアーラ貴族でもあるカルロの微妙な立場のおかげで、イリアーラに残している家族が危うくなるやもしれない。

 そうならないよう、カルロはドルラード王国のロルフ王と結託し、世界国家の夢を叶えるため両国大使としてイリアーラに赴くこととなったのだが・・・・・・

■ ついに
 完結編です。この人の文は非常に読みやすくて好みなのですがこの人の他作品が他にないのが非常に残念です。このような作品を出せる作家を大事にしない富士見には残念な思いがあります。勝手な思い込みなら申し訳ありませんが。

■ なんてことはさておいて
 もはや揺るぎ無い自己を確立したカルロは、その能力を最大限に発揮してイリアーラで画策しようとします。

 イリアーラに裏切り者として迎えられたカルロは、厳しい罰や甘い罠に苦しめられながら頑張ろうとするのですが、カルロを心配したクレアが身分を隠してやってきたのでさあ大変。

 彼に宛がわれた婚約者レティシーヌに過大な焼餅を焼きまくります。

 その描写は細々と出まくるのであえて書きませんが、なかなか面白いです。

■ 今まで書きませんでしたが
 カルロも本当に面白いですね。誰にも出来ないことをあっさりとやってみせながら、恋愛に対してのみ非常に奥手だったりとまあ典型的といえば典型的と言えなくもないのですが、クレーシアに対して女心がわかってそうでわかってないあたりがなんとももどかしくて笑えます。

■ 実は前回にも登場しまくってました
 アングス貴族であるアズフェルド・イルマというキャラクターも名脇役としてこの作品を支えています。皮肉屋で誰にでも横柄で女ったらしという最高の立場にいます。一度彼みたいになってみたいものです。細かな活躍はあなた自身の目で確かめてください。

■ なんだかんだで
 星5つです。安定して大満足のシリーズでしたね。読んでいると頬が引き締まったり緩んだりしてしまういい作品でした。