Chrome Closed Chronicle ―クロム・クローズド・クロニクル―

■ ストーリー
 いつから存在しているのかわからない機械の荒野《無窮領域》。

 そこに生きる生命は《掃討者》と呼ばれる機械のみだった。

 有機生命体が入り込めば、その空気中に舞う金属粉で全ては金属へと染まり犯され、そして死にゆくのみだった。

 何より人類が立ち入れば例外無く《掃討者》が殺してしまう。まるで人類を目の敵にするように。

 さらには傍目にはわからない《罠》が、あっという間に命を刈り取ってしまう。

 その脅威から唯一逃れているのは、閉ざされし世界マルクアルトゥスにおいて人類唯一の聖域である城塞型都市国家ウルバスだけだった。

 そして機械生命体である《掃討者》に対抗できるのは、《想念士》と呼ばれる機械を操る特殊な才能の持ち主だけだった。

 三年前、ウルバスに起きた悲劇で親を失った想念士候補であるカイム・クイントは、同じく三年前の悲劇で妹セレーナが罹患した金属粉による鉱化病を治すため、人類の楽園とされる伝説の土地《希望の園》(アーセルヴァ)を探していた。

 想念士になるために日々勉強と実践を重ねるカイムだったが、ある日《無窮領域》で親にいつものように花を掲げていると、《無窮領域》を眺める少女がいた。

 無機質な死の世界に似つかわしくない美しい少女はカイムの視線に気付かず、やがて諦めるように《無窮領域》から目を背けた。

 しかしてその少女――アイリーシュ・シエラールがカイムと再会するのに時間は掛からなかった。

 まさか、その日に再び出逢うとは。

■ この作品を
 購入する前と読了した後で私が感じた世界観(というか空気感)は非常に予想通りで楽しめました。

 無機質で無慈悲な世界。

 機械のみが存在する荒野という世界を表現し、アイリーシュを見事にイラスト化してくれた黒銀さんの仕事も素晴らしかった・・・・・・んですが。

■ そんなことよりも
 なんかもうカイムとアイリーシュのキャラクターが凄い。

 両者ともに絶滅危惧種に等しい性格を掛け合わせた結果、大変面白いことになってます。

 というか、アイリーシュが可愛すぎて困る。

 純粋で純朴なカイムに『ツンデレーナ』という言葉を思い起こさせたこところが既に凄い。

 いやはや、面白いものを見させて頂きました。

 ブラコンな妹のセレーナも年相応のおませさんでニヤニヤが止まらなかったです。

■ あとはまあ
 戦闘自体は非常に面白かったのですが、・・・・・・その・・・・・・戦闘自体はカッコイイんです。

 カイムの《罠》を用いた戦いも、アイリーシュのように《依代》を使って戦うところも非常に好きなんですが・・・・・・

 その、・・・・・・難しい日本語をカタカナで表記する光景がちょっとシュール過ぎました。

 まさかここまで衝撃があるとは思いませんでした。

 ちょっと見てみましょうか。

  • 《ハンモクヲヨブイタ》
  • 《レイコクナイブキ》
  • 《ムジヒノオオグチ》
  • 《ジュバクノイマシメ》


 ・・・・・・・・・・・・

 ちなみにこれに漢字を当てると、

  • 《反目を呼ぶ板》
  • 《冷酷な息吹》
  • 《無慈悲の大口》
  • 《呪縛の戒め》


 ・・・・・・ラノベ特有の難しい漢字に外国語をカタカナで表記する(ルビをふる)に見慣れているせいなのかもしれない。

 でもカイムが敵に付けた名前は格好良かったからなぁ。難しい所なのかもしれない。

■ そんなこんなで
 評価としては星4つ。

 どうやら続き物のようなので続きが楽しみ。