あなたのための物語

あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

■ ストーリー
 時は2084年。

 一人の女性がその短い生涯を終えようとしていた。

 その死に様はあまりにも汚らしく、醜く、苦しく、一筋の優しい記憶が頭を過ぎり、そして全ては灰色に塗りつぶされた。

 果たして、彼女の死に意味はあったのだろうか?

 果たして、彼女の死を悲しむ者はいるだろうか?

 
 果たして、彼女は自分の"生"を生き抜くことが出来たのだろうか?


 これはITP(Image Transfer Protocol)テキストによる仮想人格《wanna be》と、科学者でありながら一人の人間であるサマンサ・ウォーカーとの物語。

■ うん
 何もいえないなぁ(感想放棄ですかそうですか)。

 とりあえずこれを読んでいた心情をば。

■ わたしのための物語
 読んでいる途中はただひたすらに心が鈍い重さを持って熱かった(意味不明かも)。

 特に読了後はその重さと熱に浮かされて中々寝付けなかった。

 サマンサの理屈然とした言葉と《wanna be》の献身的な言葉の応酬があまりにも虚しい。

 <ミス・サマンサ。あなたのお役に立てますか?>

 「あなたにできることは、何もないわ」


 理屈ではわかっていながら、《人》を理解しようとせず、全てを自身の理屈に委ね、ただそれを肯定するのみ。

 胸が痛かったです。どこのどの部分かと言われると思い出せないのですが、色々な部分のサマンサの心情が私にも当てはまるような気がして。

■ それでも
 私にはサマンサ・ウォーカーのような選択はきっとしないでしょう。

 私は甘んじて死を受け入れ、そしてきっと何も残さず、何も残そうとしないでしょう。

 彼女は抗って戦い、私はあるがままを受け入れるだけ。残るものは何もなく、残すものもあるのかどうか。

 別に虚無主義でもなんでもないのですが、私は私がすることしかできないので、きっと頑張り始めた今しか残らない。

 残るものがあるだけマシなのかもしれない・・・・・・なにぶんネガティブ思考なもので、悪い方へ悪い方へとばかり考えてしまう。

 ・・・・・・本筋からずれてしまいましたね、すみません。

 それでも、これは決して私の為の物語にはならない。

 私の為の物語となりえるのは、私と全てが重なる物語だけ。

 そんなものはありえない。ゆえに『あなたのための物語』。

 サマンサ・ウォーカーが自らの理不尽な死を目前に、《wanna be》やその他の人と触れ合い、傷付け合い、そして彼女は自分のするべきこと、自分のしたいことをしただけ。

 ただ、それだけの物語なのだと思います。

■ 評価としては
 星5つ。

 ・・・・・・自分でも何を言っているのかさっぱりわからない。でもこれでいい。

 もう考えるのは止めにしよう。私は彼女ではないのですから。

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