あなたのための物語
あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
- 作者: 長谷敏司
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/08
- メディア: 単行本
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■ ストーリー
時は2084年。
一人の女性がその短い生涯を終えようとしていた。
その死に様はあまりにも汚らしく、醜く、苦しく、一筋の優しい記憶が頭を過ぎり、そして全ては灰色に塗りつぶされた。
果たして、彼女の死に意味はあったのだろうか?
果たして、彼女の死を悲しむ者はいるだろうか?
果たして、彼女は自分の"生"を生き抜くことが出来たのだろうか?
これはITP(Image Transfer Protocol)テキストによる仮想人格《wanna be》と、科学者でありながら一人の人間であるサマンサ・ウォーカーとの物語。
■ うん
何もいえないなぁ(感想放棄ですかそうですか)。
とりあえずこれを読んでいた心情をば。
■ わたしのための物語
読んでいる途中はただひたすらに心が鈍い重さを持って熱かった(意味不明かも)。
特に読了後はその重さと熱に浮かされて中々寝付けなかった。
サマンサの理屈然とした言葉と《wanna be》の献身的な言葉の応酬があまりにも虚しい。
<ミス・サマンサ。あなたのお役に立てますか?>
「あなたにできることは、何もないわ」
理屈ではわかっていながら、《人》を理解しようとせず、全てを自身の理屈に委ね、ただそれを肯定するのみ。
胸が痛かったです。どこのどの部分かと言われると思い出せないのですが、色々な部分のサマンサの心情が私にも当てはまるような気がして。
■ それでも
私にはサマンサ・ウォーカーのような選択はきっとしないでしょう。
私は甘んじて死を受け入れ、そしてきっと何も残さず、何も残そうとしないでしょう。
彼女は抗って戦い、私はあるがままを受け入れるだけ。残るものは何もなく、残すものもあるのかどうか。
別に虚無主義でもなんでもないのですが、私は私がすることしかできないので、きっと頑張り始めた今しか残らない。
残るものがあるだけマシなのかもしれない・・・・・・なにぶんネガティブ思考なもので、悪い方へ悪い方へとばかり考えてしまう。
・・・・・・本筋からずれてしまいましたね、すみません。
それでも、これは決して私の為の物語にはならない。
私の為の物語となりえるのは、私と全てが重なる物語だけ。
そんなものはありえない。ゆえに『あなたのための物語』。
サマンサ・ウォーカーが自らの理不尽な死を目前に、《wanna be》やその他の人と触れ合い、傷付け合い、そして彼女は自分のするべきこと、自分のしたいことをしただけ。
ただ、それだけの物語なのだと思います。
■ 評価としては
星5つ。
・・・・・・自分でも何を言っているのかさっぱりわからない。でもこれでいい。
もう考えるのは止めにしよう。私は彼女ではないのですから。