シャギードッグ 天使の序章

シャギードッグ 天使の序章 (GA文庫)

シャギードッグ 天使の序章 (GA文庫)

 見た目(オーラ)に惹かれて買った作品。その感覚は間違いではなかった。

■ ストーリー
 鳴神大介は遊園地でバイトをしているとある光景が目に飛び込んできた。

 それはありえない光景だった。

 遊園地で現実的でないほど美しい少女が歩いている。

 それだけならば何もおかしくはない。だが、誰もその少女の存在に気付いていないのだ。

 それでいて、まるで道を無意識に道を譲っているかのように誰もその少女を歩みを遮らないのだ。

 さらには、野外カフェの客が立ったばかりのまだ片付けられていないテーブルになんでもないように座り込むのだが、それを片付けてきたウェイターが注文も取らずに片付けるだけで去ってしまったのだ。

 いよいよ不審がって彼女を注視しはじめた大介はさらに信じられない光景を目にしてしまう。

 焦った様子で彼女の前に突然座り込んだ男が彼女が差し出した拳銃で突然自殺してしまったのだ。

 だが、それでもなお彼女は周りの誰にも気付かれていなかった。

 男の自殺の喧騒をよそに、ため息を吐いてついて立ち去ろうとしていた彼女と大介の目が合った。

 すると彼女は驚きの表情を浮かべた後、あまりにも妖艶な笑みを浮かべた。

 それが全ての始まりだった。

■ 戦闘プログラム
 脳内に直接導入《インストール》するプログラム。一度導入してしまえば二度と消すことが出来ない。

 文字通り数多の先駆者の戦闘経験を頭に導入し、誰もが使いこなすことが出来る。

 だが、プロの戦闘家が出来る動きを正確に再現してしまうがゆえに体を鍛えていなければ、その動きについていけず体が壊れてしまう。

 戦闘プログラムを持つものは戦闘プログラム保持者《ホルダー》と呼ばれ、プログラムを使いこなすものは《マスター》と呼ばれる。

 反応速度と身体能力も上昇させることが出来るほか、それ以外にも様々なことを可能とするようだが・・・・・・

■ オズ
 伝説の強制催眠能力者《ドリーマー》で、同時にドリーマーとして禁忌の名とされる。

 その存在は過去に何をし、何をもたらしたのだろうか。

■ この物語に色をつけるなら
 白と黒のモノトーンといった感じですね。

 別に物語がつまらないわけではありません。白と黒で全てが表されている気がするのです。

 本当は色々な色のある風景なのですが、それが白と黒だけで全てが表されているような感覚を覚えるのです。ホントにビックリです。

 それでいて満足できてる自分になおビックリな感じです。イラストの影響も大きいかも。

■ なにより
 大介の戦闘プログラムの真実、オズの虚構と現実。

 白と黒で色分けされた世界で起きる事実にただただ驚かされるばかりです。

 特にオズの虚構の世界の白さにビビリまくりです。それでいてそれで十分だと思えるのですからこの作者の文才には恐れ入ります。

 戦闘もいいですしね。スピーディーでカッコイイ展開に頭がいい感じに痺れます。

■ 他にも
 全てを悟る大介の師匠の桂天遊斎。《西の魔女》と呼ばれる異局の捜査官堂本亜夜。そして記憶にない大介の幼馴染を主張する姫野まりん

 彼らが交わることで起こることは? 

 大介とオズの進む先は――

■ 評価としては
 星5つ。白と黒の圧倒的な強さを魅入ってしまったら負けですが勝ち見たいな感じです。