ソードアート・オンライン(2) アインクラッド

■ ストーリー
 2022年5月に脅威のゲームが発表された。

 ゲームハード《ナーヴギア》と呼ばれるそれは、VRMMORPG(仮装大規模オンラインロールプレイングゲーム)――《ソードアート・オンライン》というソフトと共に革新的な技術としてこの業界を席捲した。

 しかし、このゲームはHPを全て失えば現実の命をも失うという命を賭けたデスゲームだった。

 それは2024年11月にクリアされたものの、クリアされるまでに多くの歴史があった。

 今回語られるのは孤高ソロプレイヤーキリトが歩んだアインクラッドのほんの一幕。

 だが、忘れることが出来ない大切な一幕でもある。

 人気シリーズの短編集です。


■ 今回
 語られる短編は全部で4つ。

 『黒の剣士』――2024年2月。アインクラッド第35層。

 ビーストテイマーであるシリカの危機を偶然通りがかったキリトが助けた。

 その時失われた彼女の使い魔であるピナを取り戻すため、キリトが協力することになったのだが・・・・・・

 『心の温度』――2024年6月。アインクラッド第48層。

 アスナの親友である鍛冶屋のリズベットの下にキリトが突然尋ねてきた。

 キリトは自身のユニークスキルのための一振りを探してここを訪れたのだが、彼女の最高の一振りをアッサリとへし折り彼女を怒らせてしまう。

 そこから売り言葉に買い言葉でリズベットはキリトと共に新たな一振りのための原料を取りに行くことになるのだが・・・・・・

 『朝露の少女』――2024年10月。アインクラッド第22層。

 キリトとアスナが新婚生活のために住み始めた第22層に不思議な噂が流れていた。

 このデジタル化された世界に存在しないはずの存在である幽霊(しかも女の子)が、ここ第22層に彷徨っているというのだ。

 実際に目撃した人物もおり、その存在が幽霊だと決め付けられた理由はいくら接近しても何のカーソルも出なかったからである。

 気になったキリトとアスナは調査をしにいくこととなった。

 そこで何と本当に目撃証言と同じ少女が現れ、さらにはなんと突然その少女が倒れてしまう。

 慌てて駆け寄ったキリトとアスナはプレイヤーにしか思えない記憶消失の不思議な少女ユイを拾った。

 彼女の正体を探しながら共に暮らすことになったのだが・・・・・・

 『赤鼻のトナカイ』――2023年12月。アインクラッド第46層。

 ひょんなことから一つの小さなギルド集団を危機から助けたキリトは彼らの仲間になることに決めた。

 それが、大きな過ちの引き金であることにも気付かずに。


■ とりあえず
 一つ言えるのは、キリトがAWのハルユキを圧倒的に超えるフラグゲッターだと言う事が判明しましたね。

 うん、良かった良かった(何が?)。

 行く先々で女の子を見つけては見事に引っ掛けるその手際の良さは素晴らしいの一言。

 いやぁ、モテる男は辛いなぁ(女の子泣かせな意味で)。

■ それはさておき
 久しぶりのSAOの世界はやっぱりいいですねぇ。この世界に触れているとSAOがやりたくなってくるから困る。

 誰か、開発してケロ(切実)。

■ なんてこともさておき
 短編集ということでしたがそれぞれがそれぞれの章でいい味を出してますね。

 キリトを形作っていたモノが大分わかりやすくなったような気がします。

 人を騙すことの虚しさと、人を信じることの意味と、得がたき大切なものがあることを。

 後悔しても戻れないということを。

■ ただまあ
 どうせ短編集をやるなら、SAOの世界に滅多にない完全なコメディを見てみたかったかもしれません。

 シリアス一辺倒で本編が進んでいるのですから、短編集くらい笑いに走ってくれればとかなんとか思ったり。

 確かに楽しい会話とか、ほっとする一休みみたいなものはあるんですけど、それじゃあちょっと寂しいですしね。

 ちなみに今回の最大の面白い章は間違いなく『朝露の少女』だと思う。

 だってアレですよ。キリトがアスナを幽霊話でびびらせるところとか、アスナがキリトにまさかの○○を頼んであきれさせたりさせるところがもう完全ツボでした。

 ラブラブな光景は見ていて楽しい。アホな光景も見ていて楽しい。うん、楽しい。

■ というわけで
 そこそこに面白かったので星4つ。次回に期待。

 今ふと思うと、どうせならこの巻に出ている話とか上手く使って、今ある第1巻の本編を上下巻にしてでもじっくり話を作って欲しかったなぁ。

 難しいところですがその方が面白い気がしました。

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