九罰の悪魔召喚術

九罰の悪魔召喚術 (電撃文庫)

九罰の悪魔召喚術 (電撃文庫)

■ ストーリー
 極東で起こった『天草の乱天草四郎率いるキリシタン幕府軍を倒し、巨大なカテドラルを建設、それまでの宗教観念を根底から覆した。

 その抵抗運動は『聖シロウの革命』と呼ばれ、当地はアジア最大の景教国家として栄えていった。

 そんな『日本』に住む、信仰心ゼロの少年・遠野九罰は、召喚した覚えのない美少女悪魔アイムに手を焼いていた。その様子を見た妹には微妙に嫉妬される毎日で、九罰には平穏なんて言葉は信じられなかった。

 ある日。町で悪魔が事件を起こした。九罰は、アイムの命を狙うエクソシスト・聖ルカとしぶしぶ犯人を探ることになる。

 ソロモン72柱の悪魔からプロファイリングによって犯人を探るアイム。そこで判明したのは意外な事実・・・・・・!

 学園ゴシックストーリー開幕!

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・らしいですよ。(投げやり)

■ 忠告します
 この感想は多分酷いことしか言ってません。

 普通にネタバレもしてると思います。

 それでも読みたい方だけ続きを読んで下さい。

■ この物語は
 どうも読んでいてしっくり来ないのです。

 高望みをしているわけでも設定が悪いわけでもなんでもないのですが・・・・・・

■ まず
 話の展開がなんとも言えません。

 序盤の展開を見ていると、なんかゲームのチュートリアルを見ているような感じがして全く面白みがないのです。

 もちろん、物語の序盤で作品の設定を説明するのは当たり前のことなのです。その上で形容し難い表現をするようで申し訳ないのですが、『説明書を読まずにゲームを始めた』ような感覚が拭えません。

 この感覚がどうしようもなく人間味がなくて面白みがないとしかいえない感覚なのです。

 私は基本的にメタ的視点をあまり気にしていない(つもりの)はずなのですが、この物語はそれを加味しても人間味がありません。

 非常に悪く言うと『感情(心情)を表現する気のない役者が台本の通りに演じている物語』と言うしかないです。

■ 理由(原因に伴う結果)
 時にはある事象・物事に対し、理由がないことが話を盛り上げる要因の一つになることもあるとは思うのですが、この話は違います。

 どう考えても理由が欲しいものに理由がなく、それでいて作品内で納得されているということが不思議で仕方ありません。

 それがどうしてもつまらなさに拍車を掛けていると言わざる終えないのです。

■ 例えば
 九罰が神聖なものが苦手で悪魔に好かれるという体質があるようですが、何故そうなのか書かれていません。(私が見た限りです。見逃してたらすみません。決め付けていたらすみません。)

 そのせいでアイムに好かれてブネとかいうソロモン72柱の悪魔に(最終的に)興味を持たれるのに、結果しか残っていないのです

 この物語の重要なファクターを担っているはずのこの設定に理由がないことは正直疑問を持たざるを得ないです。

 ご都合主義すぎると言っても過言ではないと思います。結果だけがそこに在り原因が伴っていないのです。

 神聖なものが苦手という描写は直接的に入ってますが、大衆的に悪魔に好かれるという描写は直接的にすら書いてませんからもう意味不明です。

■ 他にも
 アイムの行動・存在理由もおかしいと言わざるを得ません。

 不思議ワールド展開しまくってます。

■ なんと驚くべきことに
 上にも書いたアイムが九罰を好いている理由がなんと書いてありません。(書いてあったらすみません)

 彼女がアイムを好いている描写は入っているのは別にいいんですが、そこまでの過程がすっ飛ばされています。

 通常、九罰が持っている資質や、九罰と過去に接触した原因等などがその要因になると思われるのですが(もちろん、例外もあると思います)、九罰が持っている資質に理由がないので、もしそれが理由だとすれば滑稽だと言わざるを得ません。

 さらに彼女は(やっぱり)理由もなく遠野家にやってき(て)ますが、序盤に書いてなかったので後で回想部分が出てくるのかなと思っていたのですが、それすらもありませんでした。

■ 今更気付いた事実
 あらすじに書いてあった『プロファイリングによって犯人を探るアイム』。

 プロ・・・ファイリング?

 そんなとこあったっけ・・・・・・

 さらに言うならそんなことするまでもなく、結果が予想できるんですが・・・・・・

 ・・・・・・もうお手上げです。

 実は他にもあるんですが・・・・・・もうやめときます。

■ イラストもなぁ・・・・・・
 どう考えても出すレーベルを間違えたんじゃないかとしか思えないイラストがテンコ盛りです。

 これなんてエ○ゲーと言わざるを得ないです、ハイ。

■ 結果として
 星1つ。読んでいて何一つスッキリすることのない作品でした。ところどころ自信がないのは、途中で集中して読む気が失せたせいです。すみません。