相剋のフェイトライン

相剋のフェイトライン (HJ文庫)

相剋のフェイトライン (HJ文庫)

 あの『カッティング』の作者である翅田大介の最新作。

■ ストーリー
 2019年、世界はあまりに荒んでいた。

 文明が崩壊したわけではないが、それでも荒んだと言っていい代物だろう。

 20世紀末に突如出没した《幻影獣》の存在によって世界は恐慌に包まれた。

 その時の世界の未知なる存在である《幻影獣》に対し、人類は多大な犠牲を払うことでなんとか退けることが出来た。

 それからというもの《幻影獣》は度々出現するようになり、その出現はどんなに事象を観測しても全く予測できなかった。

 多大な犠牲を払いながら、対策に奔走した人類に奇妙な能力が発現し始めた。

 その能力は、炎を発現したり、空気を操ったり、何もないところから武器を発現してみせた。

 その人智を超えた力は《dis-》と称されており、人類の危機に対して人類が獲得した能力とも危機と同質の存在とも言われた。

 そんな世界で《dis-》の発現者真神キョウジは犯罪すれすれの危ない仕事をしながら、孤児であるニコラスやリョウ、ミカと共に打ち捨てられた廃ビルで慎ましやかに暮らしていた。

 しかしその平穏は突如破られた。

 天窓から派手に降りてきた少女と共に。

■ う〜んと
 面白かったと言われれば面白かったんですが・・・・・・気になる点が。

 まあ、別に悪い点だけではないんですが。

■ なんというか
 あまりにも表現が直接的過ぎるといった感じがしました。

 小節を読んでいると言うよりはマンガを読んでいるような感じがしたのです。

 ・・・・・・なんでそう感じたのだろう。前作とのギャップが大きいと感じるからかもしれません。

 だからどうだというのだって感じもしますが、小説の利点があんまり活きてないというかそんな感じがしたのが残念です。

 逆に言えば非常にわかりやすかったので、初心者にはオススメの本かもしれません。

■ 過去・現在・未来
 特に直接的と感じた部分です。

 確かに表題に掲げるべき点と言われればそうなんですが、あまりにも固執しすぎてる気がしました。

 感覚的なものなので何とも言えないのですが、未来はともかく過去から現在への考え方がなんとも。

■ キャラクターの存在価値?
 序盤に出てきた人たちの存在があまりにも薄すぎて泣けます。

 必要な部分でしか話に出てこないのは、正直寂しいです。

 エピローグにでも出してくれればよかったのに。

■ あとはまあ
 あんまり新鮮味を感じなかったのが残念です。

 あと一つ大きな個性があれば評価が伸びたかもしれません。

■ ただまあ
 予知者と預言者の違いはよくある話ですが、この部分に関してはオリジナリティがあってよかったと思います。

 こういう考え方もあるんだなと思いました。

■ 評価としては
 星3.5です。星3つにするかどうか悩みましたが、次に期待してみましょう。