冬の巨人
- 作者: 古橋秀之,藤城陽
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2007/04/10
- メディア: 単行本
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■ ストーリー
その世界は万年風雪と呼ばれる雪が年中降り続け、空は常に灰色の雲に覆われていた。
その中をゆっくり――本当にゆっくり闊歩する一つの人影があった。
その人影は山のように大きく、ミールと呼ばれている。
ミールの上には天球(ニエーバ)と呼ばれる街が広がっており、この閉塞した世界に十万もの市民が住んでいる。
そこに住むオレグという一人の少年(通称:オーリャ)という愛称で呼ばれ、猫のアンドリューシャと共に慎ましやかな生活を送りながら、変人教授と呼ばれるディエーニン教授の助手として彼と共にこのミールという存在について調査をする日々を送っていた。
ディエーニン教授はは市政議員ザヴォーディンより援助を受け、オーリャはザヴォーディンの娘エフゲーニヤ・コンスタンティナ・ザヴォーティナ(通称:ジェーニャ)と仲良くなっていた。
そんな日々を送りながらある日、ミールの調査を繰り返ししてきたディエーニンは空から気球も用いてミールを観察することにした。
年若く元気なオーリャは、その写実能力の高さも買われ、ディエーニンに代わり気球に乗ることとなった。
そして気球が飛び立ち空高く舞い上がったときオーリャは信じられない光景を見る。
太陽の光に反射して光り輝く少女がその空を舞っている光景を――
■ ミールとは
巨大なものを意味し、街を意味し、そして世界を意味している。
世界――極寒の混沌の中にあって秩序だった意味を持つ唯一の存在。
街――千年の歴史と十万の市民を孕む人の住む場所。
巨大なもの――巨大なものの象徴としてこの巨人自身の名となっている。
ミールは何も語らず黙々と歩いてゆく。
その目的もわからずに。
■ そんな場所で
オーリャはその純粋な視線で沢山の世界を見ることになります。
きちんと、設備の整った工場から、生命の火のみが抜き去られたような場所だ。建設されてから、せいぜい数年から数十年で、いきなり放棄されたように見える。
今にも消えようとしているミールの生命の火を。
いざ意識を集中して観察してみると、この席からの視界は、ジェーニャを中心とした見事な構図を為していた。決して偶然ではなく、周囲の花や器物のひとつひとつが美的な意図を以て慎重に配置されているのだ。品種による薔薇の発色の違いや、複数の照明装置の微妙な光の色合いの差、そしてそれらがジェーニャの白い頬に映える様までもが、完璧に計算されている。
極寒の世界では存在し得ない彩色溢れる美しい庭園を。
どこまでも、見渡す限りの、白く輝く雲。
それは地上の雪原にも似た風景だったが、決定的に違うのは、見たこともない青い空、そして、頭上から降り注ぐまばゆい光だ。
見聞きしてきた『死者の国』や『この世ではない場所』と呼ばれる所の真実を。
その瞳には、この世界がどのように映っているのでしょうか?
彼はこの世界をどう思っているのでしょうか?
■ やがて
変わり行く世界を人々はどう受け入れるのか。絶望か希望か。突き付けられる事実は世界を、人をどこに導くのだろうか。
■ 評価としては
星4.5です。心に響く美しさと切なさで胸を打つ衝動がある作品だと思います。
でも、私には何か物足りません。
何故でしょう? 私はこれ以上を求めてしまいます。
ひょっとしたら何かがあるはずなのに気付かなかっただけかもしれません。
作品として足りないものがないと思うのに何かが足りず、評価を星5つにできません。
欲張りなのかもしれませんね私は。
う〜んトラックバックの扱いがイマイチよくわかってないような・・・・・・困ったものです。
■ 追記(ツッコミ)
hobo_kingさん反応早っ!!!