白の断章
- 作者: 鏡征爾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/05/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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■ ストーリー
その日、外では雨が降りしきっていた。
断続的に拍を刻む音の洪水が九条千司に7年前の過去を思い出させていた。
白いボール。白いゴール。そして・・・・・・一人の百合亜と呼ばれた白い少女の残滓を。
■ スタンガン
それは黒を切り裂く白。
世界から自分を殺すためのもの。
忘れたいものを忘れるためのもの。
■ 黒を裂く白
機械的なサッカーと自身が招いたミスに絶望し、しかし全てを忘れることが出来ない千司。
他人から心臓を移植され、新たに生まれた自分の心を殺すために危険を冒す百合亜。
千司はそんな不思議な彼女に曳かれ、
百合亜はそんな彼をどこかへと誘おうとする。
光につられた蛾の行く先は。
■ その心は
貰い受けた『特別な』心臓に翻弄され、自分がわからない彼女。
ドナーの残した恐怖が悪夢となって彼女の心を埋め尽くす。
彼女はそれを振り切るために危険を冒し、そして――こめかみにスタンガンを当てる。
改造して出力電圧がさらに高まっているそれは、彼女を白い世界へと誘う。
儀式のように続けているその行為の意味とは。
彼女が全てをやり終えたとき、彼女はどこにゆくのだろう。
■ 性
世間一般によく取りざたされているようでされていない性の様々な在り方が見れたの興味深かったですね。
世にも珍しい外因的後天性性同一性障害(障害ではないかも)に同性愛、そしてそれが合わさった世界。
定まらない心にどうにもままならない世界が物語の虚しさを表しているようです。
■ そうして
過去に引きずられる2人。
怯えて逃げた彼らは過去を清算することが出来るのだろうか。
■ 評価としては
すんごく評価が難しかったんですが星4.5です。でも5つでも良かったかもしれないし、4つなのかもしれない。
まあ、そんな感じで定まらなかったので間をとって4.5になったかんじです。
でも面白かったですよ。